50周年に向けて (2)

2021.04.26

山路来て 続編 (その2) 「マイクロミストスプレードライヤ」

GFの主力オリジナル商品であるマイクロミストドライヤー(以下MMSD)は1998年の販売以来、売上台数162台(実験機135台、生産機27台) 総売上高約29億5,000万円になります。世界で最も均質で微細な粉を大量に作ることが出来る装置として、ファインケミカル、医薬等様々な分野でご利用いただいております。
今月はその販売初期のことについて書きたいと思います。

今日までの販売のきっかけとなったのは、

  1. 日本経済新聞と日経産業新聞日刊工業新聞一面に製品を取り上げていただいたこと、
  2. 粉体工業会に入会し、粉体工業展へ出展をするようになったこと、さらには、
  3. 当時親交の深かった医薬関係の機器商社フィンテックの小林社長のお陰であったと言えます。

前回紹介したMMSD第一号の購入は新聞記事の問い合わせからでした。
ラボ機は無事納入できましたが、続く実機は製造中にご注文をいただいた会社の支払いが滞ったため、一号機は宙に浮き、その装置は弊社内大型の受託機として使用することに。しかし、数回使用しただけで、撤去することとなったのです。

粉体工業展では多くのお客様に出会い、MMSDの優位性をアピール。
徐々に化学装置としての認知度が上がり、様々なメーカーへの納入へとつながりました。特にM化学様は坂出の工場へのパイロット機、研究所への実験機、そして、水島工場への大型生産機とリチウムイオン電池の正極材製造用途で販売が広がったのです。

フィンテック小林社長のお陰で医薬メーカーへの販路への道がつき、第一号機を納入させていただきました。
様々な実験を繰り返し、乾燥過程で、従来の凍結乾燥に比べ、MMSDによる低温噴霧乾燥法が優れていることがわかり、第2号のラボ機販売へとつながりました。

現在、商社として最もご協力いただいている第一実業様は1998年のベンチャ-フェアーJAPANに出展した時からのお付き合いです。その後、正式に取り扱ってもらうことになり、国内外多くのお客様への販売をご協力いただきました。特に海外への販売は、弊社単独では難しく、韓国製薬メーカー様の時は、初の海外生産機であったこともあり、非常にお世話になりました。

また、ヨーロッパでの販売は3Vコゲイム社のご協力によるものでした。上述小林社長の引合せでイタリア北部ベルガモに本社がある3V社と相互に販売協力をする提携契約を結んだのです。3V社はMMSDとは異なる形での粉体製造機械で少し異なった用途に利用する真空乾燥機と言うものを中心に扱っていたのです。

MMSDは結果的にヨーロッパの製薬メーカー向けにペプチド製剤の製造用途で2台販売をいたしました。しかし、日本サイドでの販売は急激なユーロの為替変動もあり、1台も販売することが出来ず、契約解除となってしまいました。発注直前まで進んだお客様をイタリアにお連れし、発注書を出すとまで言っていただきましたが、結果的には納入することは出来ず、心残りとなってしまいました。

今日があるのは、これら初期のお世話になったお客様、代理店様に教えていただき、それを受けて弊社エンジニアが改良を重ねてきた結果です。
これからも、素材開発等の分野でお客様のニーズに応えていくことで、持続可能社会の実現に寄与していきます。

代表取締役 藤崎 耕治