新型コロナウイルスについて思う

2020.05.01

新型コロナウイルスは、我々人類に対して、人、物、金、システムの現在、そして今後の在り方について、問いかけていると思います。一極集中の日本、都市集中の世界、IMFや各ナショナルバンク中心の金融システム、中国に集中した世界の製造システム。効率化を追求して進められてきた、これら集中化したシステムの脆弱性がコロナによって露呈しました。
 

今後の世界は、5D(Diverse: 多様化, Decentralize: 分散化, Digitalize: デジタル化, Decarbonize: 脱炭素化, Deregulate: 規制緩和)の方向に、より舵を取ったと感じています。その先には、既存システムや価値観の変化・崩壊が待ち受けていると思います。
 

政治的には、1990年代から進んできたアメリカへの一極集中が、中国の台頭により、変貌しました。そしてトランプ大統領の出現により、アメリカが世界のリーダーを降り、アメリカの利益優先主義に変容したのです。さらにコロナにより、その流れが加速し、多極化がより進むことになるでしょう。「世界の工場」と呼ばれ、中国に集中していた製造システムも、アジアを中心とした広いエリアに分散化するでしょう。
 

新型コロナウイルスがもたらしたポジティブな点を挙げるなら、デジタル化が、特にウェブを利用した仕事や教育、さらには医療において、大きく伸長したことでしょう。今後この流れは、より加速し、働き方改革、教育現場におけるいじめや落ちこぼれ、さらに格差の解消へとつながっていくと思われます。また、遠隔地の医療においては、非常に有効な手段となっていくでしょう。
 

このことは、「都市から離れたエリアにおいて、多くのハンディキャップがある」との見方をあらためるきっかけになると思います。勿論、一朝一夕で東京一極集中が解消するわけではありませんが、様々な格差が、今後解消されていくことでしょう。
 

新型コロナウイルスの被害は、世界中の都市部に集中しており、一方で田舎と呼ばれるエリアでは、深刻な被害は少なく、比較的平穏な暮らしを営むことが出来ています。弊社が所在する徳島県阿南市では、県全体でも県内で感染した人が皆無であり、阿南市に至っては全く感染者が発生していません。すなわち、大都市は利便性を求めるあまり、自然との乖離が進み、災害にいかに脆いかが明白になったと思います。
 

緊急事態宣言後20日が経ち、徐々にその効果が表れ、感染者数の増加も減少してきました。しかし、新型コロナウイルスに対して、感染拡大を防ぐ暫定対策が進められただけであり、恒久対策がとられたわけではありません。恒久対策とは、集団免疫が形成され、感染確率が極めて低くなることです。あるいはワクチンが開発されて、インフルエンザのように予防処置をとれることです。日本各地において、恒久対策が有効化するには、まだ一年以上の月日を要すると、覚悟しなければならないと思います。
 

我々は、新型コロナウイルスから多くのことを学びました。都市の脆弱性、一極集中の怖さ、デジタル化の伸長による地方格差の解消など。悪い面だけではありません。学んだことを活かし、より充実した暮らしが出来るように、また、それが持続していくように、GFは今後の方向性を定め、皆様の幸せの実現、そして持続可能社会実現に向けて、進んでまいりましょう。