2020年 年頭所感

2020.01.08

皆様、新年あけましておめでとうございます。
年末年始の休暇は如何過ごされましたでしょうか?素晴らしい時を過ごされたこととお喜び申し上げます。
私自身は一年で最もゆっくり家族とともに時間を過ごすことが出来ました。
昨年を振り返り、大晦日には紅白歌合戦、そしてゆく年くる年を家族と一緒に見て、除夜の鐘とともに年越しそばを戴くことが出来ました。

年が明けて元日の朝は毎年の恒例である、中林海岸での初日の出、今年は例年にも増して多くの方が淡島、中林の海岸を訪れていました。
元旦は気候も穏やかで、水平線からきれいに上がる日の出は厳かで清々しく、令和にふさわしい、誰もが思わず手を合わせるものでした。

その後、氏神様である町内の八幡宮へ初詣をし、皆様一人一人の幸せと企業の繁栄を祈願いたしました。
そして、家族とともに御節とお雑煮をいただくことが出来ました。
このように穏やかなお正月を迎えることが出来たのも、ひとえに皆様のご協力があってのことと改めて感謝申し上げます。

年末から年始にかけて暖かく穏やかな日が続いております。
冬のこの季節に暖かな日差しは暮らしやすく、私たちを幸せにしてくれます。
しかし、一方で昨年は史上最も日本における平均気温が高かったようです。
1900年頃から比較すると約2℃上昇しています。
世界平均も史上2番目であり、全世界でも1℃程度の上昇が確認されています。

一見何ら大きな変化のない世界のように感じられます。しかし、気温の上昇は地球に、そして私たちに大きな影響を及ぼすことが、肌で感じられるようになってまいりました。温暖化の影響で太平洋の水温が上昇し、赤道近くで発生した台風が巨大化して日本を襲うようになってきたのです。ここ2年ほどでその傾向はより顕著になってきました。

台風19号は静岡に上陸し、東日本全域に甚大な被害をもたらしました。先日訪れた伊豆の風力発電サイトでも最大風速60m/秒だったそうです。19号は風による被害より、広域に降った豪雨の被害が特徴的でした。台風の中心から遠く離れた長野市で川の堤防が決壊し、多くの家屋、そして、新幹線が水没するという、想像さえしていなかった被害をもたらしたのです。

また、台風15号は千葉県全域でその猛威を振るい、最大瞬間風速58m/秒の風は送電鉄塔、電柱、信号をなぎ倒し、家屋にも甚大な被害をもたらしました。その結果、千葉県を中心に93万戸が停電しました。完全復旧までに約20日間を要し、多くの人が長期間明かりのない不安な夜を過ごすこととなりました。

日本では電柱等構造物は設計風速40m/秒であり、60m程度の瞬間風速に耐えると考えられています。今後さらに温暖化が進行すれば台風がさらに狂暴化することが推測されます。徳島でも平野部において60m/秒を超える風が頻繁に吹くようになると考えられます。その場合は多くの電柱や送電鉄塔が倒壊し、15号と同様に長期間の停電が発生します。

地球温暖化は世界各地で異常気象を引き起こしています。この写真はカリフォルニアの山火事です、温暖化の影響を受け、世界中で山火事が猛威を振るっています。アメリカ、南米、オーストラリアと世界中で森林火災が発生しているのです。また、昨年末にはヨーロッパでかつてない規模の暖冬や、世界各地でゲリラ豪雨による被害が続発しているのです。

私がMITでスターマン博士から30年前に「我々が行ったコンピュータシミュレーションの結果、2000年代中頃には世界人口が増え続け、100億人を超え、その後激減する。」 この言葉がより現実のものとなってきています。平均気温が1度上昇すると食料生産量は大幅に低下すると指摘されています。気温上昇により干ばつ、一方で気温の過激化、さらに、暴風雨等が激しくなり、食糧生産が安定的に行えないと考えられています。その結果、食糧自給が難しくなり、地域間紛争や疫病などの蔓延が想定されます。そして世界人口は激減するのです。簡単に激減と表現していますが、例えば五人家族のうち一人、あるいは二人が亡くなるということです。これは人類が迎える最大の危機ではないかと思います。2030年までに温暖化の影響で労働生産性の減少だけで、250兆円の経済損出が発生すると推計されています。

年始にNHKで「10 Years未来への分岐点」を放映していました。まさしく私が皆様にお話ししていることを番組ではより具体的に、そして視覚に訴える形で解説していたのです。
番組では「“これからの10年間が人類の未来を決める”いま、世界の様々な分野の研究者が口をそろえる。地球温暖化、食糧や水の問題、そしてAIや生命工学など進化し続けるテクノロジー。こうした課題にこれからの10年間どう向き合っていくのか。それが人類にとって、大きな“分岐点”になるというものだ。もしも対応を誤れば、世界は後戻りできない“ディストピア”(ユートピアの反対の意味、人類にとって非常に困難な世界)になってしまうかもしれない。」というメッセージを出していました。

番組の中で産業革命以降、上昇し続けている世界の平均気温はこれからの10年で二酸化炭素排出量を激減させ、実質0に出来れば1.5度程度の上昇に抑えることが出来る、しかし、現状の傾向のままで増え続ければ2100年までに4度近くの上昇になると警告しています。

その過程で、北極、南極の氷は溶け続け、北極は消滅、世界の海面は上昇し、標高の低い世界中の低地は高潮や海岸浸食により生活さえできなくなる。また、温暖化の影響でアマゾンンの熱帯雨林はサバンナ化し、二酸化炭素を吸収しなくなる、そしてシベリアの永久凍土地帯は融解し、地下のメタンガスが噴出し二酸化炭素の数倍温暖化効果の高いメタンガスを大量に吐き出すようになる。

これらの現象は深刻な異常気象、水不足、食糧危機を招き、それは世界各地で紛争を誘発します。AIによって先鋭化した無人兵器が、無差別な殺戮を繰り広げるようになるかもしれません。
まさしく“ディストピア”の実現です。

これからの10年間は世界が“ユートピア”へ行くのか“ディストピア”へ行くのかの分岐点となるのです。
我々は行動しなければなりません。
この分岐点を素晴らしい未来を創る分岐点としなければならないのです。具体的には化石燃料から再生可能エネルギーへの転換です。石炭火力発電を廃止していく、太陽光や、風力など自然エネルギー由来の電源に変換する。化石燃料由来のプラスティックを使用しないようにする。省エネルギーに努める。水やインフラにかかるエネルギー消費を減らす。環境負荷の低い生活に転換する。これらのことを実践していかなければなりません。

世界がこのような危機的状況にある今、行動し、それを解決することが出来る、株式会社GFを生み出すことが出来て本当に良かったと思います。GFのミッションでは「社員一人一人の物心両面の幸せ実現」「持続可能社会に寄与する」の2点を定義しています。
ミッション実現の過程で人間成長と経済成長が実現できるのです。
これからの10年間の分岐点を素晴らしい未来へ導くために行動しましょう。