MAINTENANCE
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GFの本拠地、徳島県阿南市。
阿南市の橘湾には、日本最大級の石炭火力発電所「橘湾火力発電所」があります。
この発電所建設当初から工事に携わってきた藤崎電機は、現在発電所内部に事務所を設けて発電所の保守業務を委託されています。
排ガス分析計の点検・数値の記録、水質監視、タービンブラシの点検・交換作業など、業務は多岐に渡ります。
この橘湾火力発電所で作られた電気は福井町にある変換所で交流から直流に変換され紀伊水道を海底ケーブルで渡り近畿地方へ送られています。
近畿地方の最重要発電所として橘湾に鎮座しています。
この最重要発電所の日常保守・定期点検工事に携われる事は誇りでもあります。
ボイラーから出た排ガスが煙道を通って煙突から出て行くまでに数百メートル。
その間には有害物質を取り除くための装置が複数設置されています。
この各装置が正常に作動されているか、計測機器の結果を記録し、監視します。
また、計測機器の校正なども行います。
発電所内で使用する水が訂正かを監視する為の装置。
訂正でないと配管・その他重要機器を腐食させてしまうのを防ぐ為、水質監視の計測機器を定期的に数値を記録し又計測機器を校正し正しい測定値へ導く大切な作業です。
タービンブラシは回転している部分と電気的に接続されている非常に重要な部品です。
定期的に寸法を測定し規定値を超えると新品に交換する。
発電機室内で作業する為、非常に危険を伴います。
毎分3600回転・1800回転するスリップリング面の清掃も欠かしません。
他にも様々な機器の点検、不具合箇所の修理も行っています。
建設時から携わっているからこそ細かな不具合に気付く事もあり実績となっています。
EPC事業部部長補佐 水口 善照
平成7年頃、橘湾石炭火力発電所の受注に向けて、本当に自分たちにこの仕事がこなせるか、長崎県松浦市に工事中の石炭発電所に、ファウンダーはじめ、阿南設備協会員の方、会社社長と見学に行ったことを昨日のことのように思い出します。
実際に見てスケールの大きさを実感し、施工方法などについての説明を聞くことで、自分たちに出来ると確信して帰ったのでした。
その後、阿南市小勝島に石炭火力発電所が建設されることに。
始めに行った電気工事は、当時の王子製紙㈱辰巳工業団地内での護岸ケーソン組み立て用の仮設高圧受電設備、ケーブル工事、分電盤工事でした。
場所は団地内の端での敷地のため、四国電力様に仮設で50本ほどの電柱を立てていただき、電力を供給していただいたため、その負担金もかなりの金額になりました。
大きなケーソンが運搬船に乗せられ小勝島に送られて行く様は本当に壮大で、同僚とともに感激し合いました。
次に小勝島造成用の現場事務所の電気工事、砕石種分け用機械設備等の電源工事、仮設キュービクルの搬入設置、高圧ケーブルの敷設、接続などを手掛けました。
赤土で足元が滑るなか、ウインチを使っての危険と隣あわせの電気工事となりました。
まだこの時期は小勝島に渡る仮設橋、道路もなく、毎日チャーター漁船で送り迎えされての作業であり、作業員を島に取り残してしまったため、漁船で再度迎えに行くといったハプニングもありました。
今から思えば、非常に危険を伴う作業でした。
いよいよ護岸工事、敷地全体の工事も進み、広い敷地の中で受注したのが、先行工事の接地線工事で、毎日炎天下の掘削、裸銅線の敷設で担当作業者は真っ黒に日焼けしながら、黙々と作業に没頭していました。
そんな中、ついに日陰を作って欲しいとの声が上がったため、運動会に使用しているテントを購入したところ、ようやく作業者に笑顔が戻りました。
そのテントが、他の土木・建築作業員からも大好評だったのが印象に残っています。
また、構内に出来る現場仮設事務所棟の電源供給工事、資材を受け入れるデリッククレーン用の高圧仮設配線工事等、埋設用に掘削していたユンボが小さかったため、思ったように掘削できず、急遽大きなユンボを再リースして夜遅くまで作業をしなければなりませんでした。
現場では毎日何m3ものコンクリートを使用するため、構内端に生コンプラントの建設があり、高所での配線作業では、現場へのスロープの昇り降りの移動が大変でした。
次は、石炭サイロ内に使用する配線ダクト製作、納品を行う作業です。
サイロ8箇所分の資材は本社辰巳工場に仮置きし、工程にあわせ運送会社の10トン車で何往復もして、小勝島まで運びました。
運び込むたびに地下にあったサイロが何十トンもの資材を乗せたまま、打ちあがって行くさまには本当に感動しました。
文字通り、「すごすぎる」現場でした。
本体工事が本格化し始め、開発電気㈱に工事の応援として中西部長、助田技師がスーパーバイザーとして出向するケーブル工事、配線トレイ工事等の担当ケーブル工事を受注。
本館電気室から開閉所電気室間のケーブル敷設工事で、延線機、コロなどをたくさん設置して約2000mのケーブル敷設で島田さん、江川さんはじめ16名の精鋭が試行錯誤し、ケーブル敷設を完成させました。
自分の背丈もあるケーブルドラムを回し、みんなで声をあわせ引いた「総合力」も、硬い絆へと生まれ変わったのでした。
その他、電気室、制御室、運転センター等の電気盤ベースの設置、ケーブル引き込み口の設置。
基準設置レベルは1mm以内という厳しいものでしたが、そのおかげで、我々の技術レベル(例えばトランシットの使い方等)も上達し、結果、メーカー側のタービン発電機、保器盤等の墨出し作業にも繋がったのです。
その後、制御盤、受電盤、作業分電盤、電動弁試験器盤などを受注、製作、納品をするようになった他、本館建屋の照明工事も行うようになったのでした。
そして、試運転・営業運転と工事は進み、発電所PR館(ワンダーランド)の電気工事を受注。
一つはクリスタル館、一つはスパイラル館と多種多様に部材が多い工事で、施工に全員が奮闘しました。
完成して電気が点灯したときの感動は今でも忘れられません。
その他、煙突上部への監視カメラ取り付け工事は、200mの階段に資材を運び、ケーブル敷設、電気配管工事等を行なうという、本当に骨の折れる仕事でした。
この橘湾火力発電所の建設工事に携わったことで、私たちはなにものにも替えがたい貴重な経験を積むことができ、その経験は私たちを大きく成長させてくれました。このときのメンバーは時を経た今でも同志のような存在です。